----- いのち -----

 

      ☆

その扉を開けたのは わたしだった。

「この先誰にもわからない空間あり。
  ご注意して開けて下さい」
変な貼り紙・・・ただの個室かな・・
忍者屋敷の 隠れ部屋みたいなのかな・・・
ちょっとした好奇心と うざったい人間関係に疲れていたことで
わたしは 扉を開けた。

白い部屋だった 座りごこちの良さそうな ソファにテープル
明るい光の射しこむ窓 清潔なシーツのかかったベット
へぇ〜 こんなところだったら住んでもいいかな。
壁は ちょっと 寂しいから 何か写真でも飾ろうかな。
よし! ひとまず荷物を置いて 何か買い出しに行ってこよう。
えっと ドアは・・・
えっ? ドアが消えちゃってる!
窓は? 窓はある。
そこまで走って 外を見た。
何もない。 光が溢れているばかり。
わたし なんてところに 入っちゃったんだろう・・・
途方にくれたわたしは ソファに 腰を降ろして 頭を抱えた。

     ☆

考えても 何も解決策が浮かばないわたしは
いつのまにか 眠ってしまったらしい。
目覚めると そこは 白い部屋のはずだった。
が・・・何もない。
ただ 柔らかい うっすらと白濁した光に 満たされた空間だった。
手をみつめて見た。 自分の存在を確かめるように。
私自身の手も なぜかおぼろげに見える。
「エーテル」 わたしの頭に浮かんだ言葉。
実在するがしないもの。
無いけれどある物。
全てが無であることが有である。
漠然とわたしの頭の中で
「ある」と「ない」が交錯する。

わたしは 誰なのだろう。
わたしは なにものなのだろう。
わたしは どこからきたのだろう。
わたしは どこへ行き着くのだろう。
いまや 光と同化した わたしは
わたしであって わたしではない。
あるのは 意識だけ。
いや これが 意識というのだろうか・・・。
わたしは 「生」である。
実体はないが 確かに 「生」であり「命」である。

光が 一点に凝縮し始めた。

     ☆

わたしは 風。
わたしを 誰もが 感じることができる。
わたしを 誰もが 見ることはできない。
わたしと一緒に 桜が舞う。
わたしと一緒に 砂塵が旅をする。
わたしは 雲を運ぶ。
わたしは 山に遮られる。
わたしと 相対する物があってこその わたしである。
わたしを動かすものは わたしではない。
全ての わたしと同じ 「生」であり「命」が
わたしを 動かすのだ。
かつて それを 「神」と呼んだ時代もあった。

     ☆ 完 ☆

あるかたの 「誰にも分からない空間ってどんなんだろう」
という言葉から こんな雑文が浮かびました。
いろいろな人間関係から 楽しいこと 辛いこと 悲しいこと いろいろ起こります。
なにもかも捨てて 一人になりたいこともあります。
「人間一人では生きていけない 人という字は 人と人が支えあっているんだよ」
なんて ことは わたしは 言いたいのではなく。
生かされているわたしたちは 生きる義務や権利などという人間だけの問題ではなく
また 地球だけの問題でもなく
ただ 「生きている」ということは 全ての 「生命」によって
なりたっているんだな〜 と わたしは 常日頃思っているので
そんな独り言を 書いてみました。
人間として 今存在しているわたし
毎日いろいろなことがあります。
それに 笑ったり 泣いたり 怒ったり
小さなことから 大きなことまで
なんて不条理なんだろうと 思うことも。
でも それが わたしの生きていく上での 不可欠なことなんだな
わたしの 「流れ」というものなんだなと わたしは 思っています。
こうやって 書くと わたしは 人生捨ててるように思われるかもしれませんが
けしてそうでは ないんですよ。
小さな出来事 大きな出来事 人間としての「生」が終わるまで
しっかり楽しませていただこうと 思っています(^^)