11月5日

誕生花:サザンカ

花言葉:譲る心


photo by hana

 サザンカは 漢名の「山茶花」から付けられたと言われていますが
漢名の山茶花は ツバキのことで サザンカの漢名は「茶梅」です。
となると 中国での名前が 取り違えて日本に伝わったような気がしますが
わたしは その反対のような気がしてしまうのです。
 原産国が 日本というところと 学名「camelia sasanqua(カメリア ササンクワ)」が
「か(ka)」を「くわ(qua)」と旧仮名遣いになっているところが
そう思わせてしまうのです。

 日本語は もともと文字がなく 言葉だけの言語でした。
文字を持たない言語というのは 世界中にたくさんあったのですが
その言語を使う国や地域が 武力や文字を持つ文化で侵略されることによって
無くなってしまっています。
日本の国の中にも 琉球語 アイヌ語がなくなっています。
その反対に 今では使われなくなってしまった言葉でも 文字が残っていることで
解明されることもあります。
そのことは またどこかでお話することもあるかと思いますので 今日は
お話しませんが・・・。

 原産国が日本であるのにもかかわらず 万葉集に一首も「サザンカ」を詠んだ歌がありません。
 サザンカは ツバキ科の花で ツバキとよく似ています。決定的な違いは
ツバキがポトンと花ごと散るのに対して サザンカは花びらが1枚ず散っていくところと
おしべが筒状になっているのがツバキ なっていないのがサザンカです。
花が散るところとか 近づいておしべの様子をよく見ないと
ツバキもサザンカも同じ花のようにも見えます。
 そのことを考えて 椿が万葉集にあるか探しますと 10首くらい探せました。
花ごとぽとっと散って 不吉のような花ですのに それについては詠っていないのです。
これは・・・サザンカのことなのではないでしょうか。
植物学者でない歌詠みには サザンカもツバキも同じものに見えたでしょうし
全てが枯れてしまった 死に絶えてしまったような 寒い冬に咲く花を
「長寿」という意味がある「椿」という漢字をあてたほうが 歌詠みらしくありませんか?
実際「椿」という漢字は ツバキをあらわさず 漢名は「山茶」です。

 万葉集の時代 漢文の素養がステイタスの時代でしたから
中国からきた人たちは 貴族たちと交流がありました。
その中で 「あの花はなんと言うのですか?」「ツバキです」
中国の人が 「ああ 山の茶の木のようだな 山茶ってしとこう」
「あの花はなんと言うのですか?」「サザンカです」
当時の発音では「さざんくぁ」とでも 言ったのだと思いますが
「ああ これも山茶のようだ 山茶的花ね・・・サザンクァ と メモメモ」
こんなことから 中国に伝わったときに
「この木は 山茶(ツバキ)ね」
「そして この木は 山茶的花(サザンクァ)ね。 えっと・・なにこれ同じ木じゃない。山茶花 山茶花っと」
いいながら 名札をくくりつけたのかもしれません。
そして 花時になって
「あら ちょっと 花が違うわね〜。 色も違うしこれは違う木だったのね〜。
こっちは 色も 香りがあるところも梅みたいな感じね〜。
そうだ! 山梅にしとこっと」
と 茶花と書いたところに 斜線をひいて 梅と書いた
なんてこともあったかもしれません。

 万葉集に書かれている文字は 漢字ですが 漢語ではありません。
日本で使われていた言葉を 発音によって漢字を当てはめたもので 万葉仮名です。
 万葉集の時代よりも前 聖徳太子が 随に送った国書は
「日出る処の天子 書を日没するところの天子に致す。恙無きや」
(日が昇る国の天子が 日が沈む国の天子にあてて書簡を送ります。ご無事にお過ごしですか?)
と 対等の立場を強調していました。
「素晴らしいあなたの国の文化や政治を 学ばせていただきたいと思います。
でも わが国の文化もまた素晴らしいものです。学ぶべきものは学ばせていただくが
けして属国にはなりません。そういう気持ですので これから仲良く よろしくご指導お願いいたします。」
と そんな気持が表われているような気持がします。
 その気持は 遣唐使を廃止したことにも表われているような気がします。
 中国の文化 宗教 政治(律令)を学び そのままミニ中国 もしくは中国の属国になるのではなく
充分学んだ所で 「中国すごい!  中国偉い! 中国一番!」と いう考えが定着することをさけました。
漢字を利用して 古来からの日本の言葉を表記する万葉仮名を作ったように
律令もそのまま真似たものではありませんでした。
素晴らしい日本の文化を一層素晴らしいものにするために 外国の文化を学び吸収する。

 第二次世界大戦に敗戦して わたしたち日本は 「日本はダメ ダメ〜。
アメリカすごい!  アメリカ偉い! アメリカ一番!」という暗示をかけられました。
そろそろその暗示から解かれてもいいような 気がわたしはします。

 日本から外国に渡って品種改良されたサザンカは
今でこそ大輪だったり 八重咲きだったりのものがありますが
原種は ツバキに似てはいても 漢名が「茶梅」というように
お茶の花のように白くて 一重咲きの 梅に似た シンプルで上品な花です。
真っ赤な赤い花びらと 輪になった黄色いおしべを持って
冬の花の女王を主張するようなツバキより 一歩引いた形で咲くところが
「譲る心」を持つ サザンカ そんな気持がします。

 世界で一番の強い国も いつかは そうでなくなる時があるものです
認めるべきものは 認め 譲るべきものは 譲る。
強い国の力を借り アジアで一番の強い国になろうとせずに
強い国のおかげで 国力を盛り返したことに感謝して
アジアの国々ひとつひとつを尊重し 盛り立てる手伝いをする。
「わたしが わたしが」と主張することではなく 日本の美徳「譲る心」を大事にしたい
と そんなことを思いました。

2001.11.5