1月15日

今日の花:百合(ユリ)

花言葉:待ちきれない思い


photo hana
 ユリはユリ科ユリ属の総称で、たくさんの種類があります。
学名の「Lilium」はラテン古名で、ギリシャ語ではユリを leirion といい、
英語ではlily、フランス語ではlis(lyz)と、みんなケルト語の「白い」という意味の
「li」からできた言葉です。
 このように西洋では古くからユリといえば、白い花で、ギリシャ神話ではゼウスの姉で
正妻のヘラを象徴する花であったり、マドンナリリーと呼ばれ聖なる花とされています。
 東洋では「百合」と漢字で書かれ、鱗片が重なり合う形を表現したもので、花を観賞するよりも
球根を薬用、飢饉の時の救荒植物として、ヤマユリやオニユリ、コオニユリが食用にされていたという植物です。
 とは言うものの、日本にも白いユリのお話しがあります。

 最初の天皇である神武天皇が、三輪山のふもとで笹百合を摘んでいた
媛蹈鞴五十鈴姫命(ひめたたらいすずひめのみこと)を見初められ、
皇后に迎えられたということです。
この伝説は、奈良市で一番古い神社である、率川神社(いさかわじんじゃ)の三枝祭りにあります。
サイクサ(三枝)とは、百合の古名です。
 神武天皇は、九州の日向から大和へ東征してきましたが、浪速で苦戦し兄を失い、
紀伊半島を周って熊野から再上陸し、畝傍の橿原宮で即位しました。
大和に古くからいる手強い勢力を抑えるのには、大和一の神である大物主大神(オオモノヌシノカミ)の
娘を妻とすることが一番の方法だったのかもしれません。
 百合の古名のサイクサのサイは、塞の神のサイと同じ意味を持っていて、
天上と人界をへだてる結界を示す言葉だそうです。
高天原(たかまがはら)から降り立ったニニギノミコトの孫である神武天皇と
地上の葦原の中つ国の神の娘が、サイクサの咲く川原で会ったのは、
ふたつの国を結ぶ鍵だったのでしよう。
 神武天皇はこんな歌を詠んでいます。
「葦原の 繁しげこき小家をやに 菅畳 いや清さや敷きて 我が二人寝し」
妻となった媛蹈鞴五十鈴姫命(ひめたたらいすずひめのみこと)と、
新婚の夜のことを思い出話していた時のことでしょう。
あなたとの初めての夜は、すっかり床を清めてあなたを迎えたのでしたよ。
と、五十鈴姫を大事にしていたことを詠っています。
何年もかかって大和にたどり着き、やっと初代天皇という位につき、
「天津神(あまつかみ)」の子孫である自分と、「国津神(くにつかみ)」の娘が
結ばれれば安定した統治ができると政治的な思惑はあったのでしょうが、
五十鈴姫は百合の花のように薫りたつような美しさと、聡明さを持った姫だったそうですから
結婚が待ちきれない思いだったことでしょう。

 ゼウスの妻のヘラのように五十鈴姫が嫉妬深かったかどうかはわかりませんが、
彼女達には不思議な共通点があります。
 ヘラは神々の中の神、最高神の正妻であり、五十鈴姫は初代天皇の皇后であり、
二人とも母性の象徴であったり、国母であるという点。
 ヘラの乳がこぼれ百合となったことから、象徴花が百合であり、
五十鈴姫が「鈴」という百合の形を意味する名前をもち、笹百合にいわれ深いこと。
 「蹈鞴」とはふいごを意味する言葉で、蹈鞴で鉄を吹くことから鉄を製錬する炉のことも
「たたら」と言うこと。
ヘラはへパイストスという、火と鍛冶の神を一人で生みだしたこと。

 鉄を生み出すような英知と、清らかな美しさを持った女性を手に入れることが、
権力を手に入れる男性の必須条件なのかもしれないと、そんなことを思いました。

2002.2.7