1月4日

今日の花:水仙(スイセン)

花言葉:自己愛


photo hana
 学名の Narcissus は、みなさんよくご存知のギリシャ神話、ナルキッソスにちなんでいます。
 このお話しから、自己愛、自己陶酔を意味するナルシシズムの語源にもなっていますね。
 でも、どうして彼は、Narcissusという名前だったんでしょう。
それはギリシャ語の「麻痺させる」という意味のNarkanという言葉からきています。
スイセンにはアルカロイドが含まれていて、食べると、嘔吐・下痢・けいれん・麻痺などの中毒症状を起こします。
そして、爽やかな強い香りは眠気をさそう効果、鎮静効果があります。

 水辺でうつむき加減に咲く花は、泉に映った自分の姿を見ているナルキッソスの姿だと言われますが、
わたしには、自己陶酔しているような、うぬぼれ屋さんには見えないのです。
スッとまっすぐに伸びた茎や葉は気高く、うつむいている花は何かを深く考えているような、
寂しげな感じがしてしまうのです。

 生まれた時に、「この者は自分の姿を見ると死ぬ」と言われ、
自分の姿を見たことがなかったナルキッソス。
 エコーに代表されるたくさんのニンフに恋されても、誰にも応えることなく、
そのことで、復讐の女神に自分自身を愛するように
呪いをかけられてしまったナルキッソス。
 自分の姿を見たら死ぬ・・・・。いったい自分はどんな姿をしているのだろう。
自分だけではない、それを見た他人をも殺してしまうのではないのだろうか・・・。
そんなふうに思いナルキッソスは、人に会わないように
森の中を彷徨っていたのではないのでしょうか。
いくらニンフたちに「あなたは素敵」と言われても、信じられない。
また、関わってくるものに死をもたらしてしまうかもしれない。
ナルキッソスのそんな思いも知らずに恋するエコー。
「あっちへおいき」と邪険にするナルキッソス。
木霊(こだま)だけを残して姿を消してしまったエコー。
それを哀れんだ復讐の女神メネシス。
「人を愛せないものは、自分自身を愛するがいい。」
泉に映った自分の姿を、はじめて見るナルキッソス。
これでいいのだ、これでいいのだ・・・・。
と、自分の姿の映る泉の底に沈んでいくナルキッソス。

 人は誰もが自分が一番かわいいもの。それは生きるものの本能でしょう。
だからこそ、他人のことを一番に考えよう、人のためになるように生きようと努力するのだと思います。
自分自身を見たら死ぬと言われて育ったナルキッソスは、自分はいったい何者なのだろうと
思っていたことでしょう。
何者なのかわからない自分自身の根本への猜疑心。自分を信じられない、愛せない。
だからこそ、他人を愛することができなかったのではないのでしょうか。
女神メネシスの言葉は、「自分自身を愛せないものは、人を愛せない」という意味だったような
そんな気持がしました。

2002.1.31