2月1日

今日の花:シラー

花言葉:冷静

photo 植物園へようこそ
 シラーは、花が釣鐘のように下に向いて咲くシラー・ヒスパニカ(カンパニュラタ)と、
上を向いて星のように咲くシラー・ペルヴィアナが代表的です。
 学名のScillaはギリシア語の、害になる(skyllo)という言葉からつけられています。
というのは、球根に毒が含まれているからです。
 skylloからわたしはギリシャ神話に登場するSkylla(スキュラ)を思い出しました。
スキュラとはシシリアの海の洞窟に住む怪物です。その姿は三重の歯を持ち、
蛇とも犬とも言われる6つの頭を下半身につけ、12本の足を持っています。
そして通りかかるものを襲い、食い殺します。
 スキュラは、水浴びの大好きな美しいニンフでした。海の神グラウコスに恋され、
それに応えなかったために、グラウコスは魔女キルケにほれ薬を頼んだのでした。
キルケはグラウコスに恋していたために、スキュラに嫉妬して、
ほれ薬ではなく毒薬をつくり、スキュラの水浴びする海に流し込んだのです。
その毒に触れたスキュラは怪物になり、6つの頭を養うために海を行くものを襲ったのです。
 魔女キルケは、スキュラを殺してしまってはグラウコスのこころが
スキュラが死んで後まで離れないことを考えたのでしょう。グラウコスの知らぬところで
毒をスキュラに盛るのです。そして醜い怪物に変わったスキュラをグラウコスが見れば
完全にこころが離れると考えたのでしょう。なんという恐ろしいまでの冷静さでしょう。
 毒に当てられたスキュラは、自分の体から突然生えた恐ろしい怪物たちを養うために
海を行くものたちを襲ったのです。彼女は現状を受けとめ、怪物と一体でありながら
怪物たちの母の道を冷静に選んだのでした。

 冷静とは、感情に動かされることなく、落ち着いて物事に動じないことです。
嫉妬という激情に流されず、グラウコスのこころを
スキュラから離す目的を達成したキルケ。
恐怖という感情に左右されず、怪物の母としての目的を達成するスキュラ。
その手段や結果は決して善とは言えないことや、人間から見れば悪であるようなことですが
二人とも冷静であったと言えるような気がします。
 冷静さとは、見方によっては、目的によっては、冷酷でもあるのですね。
人間には、目的を達成させるための冷静さではなく、目的を設定する時の冷静さが
大切なような気持がしました。
 その目的は善であるのか、悪であるのか。その善は何のための善であるのか。
独り善がりの、自分だけのため、自分の国だけのため、人間だけのための善ではないのか、
そんなことを考えなくてはいけないのではないのかなと思いました。

2002.2.26