4月25日

今日の花:フロックス

花言葉:あなたの気に入れば幸せです

photo 植物園へようこそ
 フロックスは、丈夫で育てやすい花です。
キョウチクトウ(夾竹桃)に似ているので、クサキョウチクトウとも呼ばれます。また、花の香りが花魁(おいらん)のおしろいの粉の匂いに似ていることから、オイランソウとも呼ばれます。

 花魁は、吉原の遊女の中でも高級遊女を指しますので、そのほとんどが最上の位である「太夫」であったことでしょう。江戸幕府公認の遊郭「吉原」で、最上の位に登りつめること、天性の美貌に加え、並々ならぬ努力が必要だったことだと思います。
 実際、置屋では美貌を見込んだ子供には、詩歌音曲、書道、花道、香道、囲碁、茶道などを
厳しく仕込み太夫の養成をしたのです。殿方のあらゆる会話に合わせることができ、多種多様の素養があること、「女」を商売とすることのプロです。

 今では「女」を売り物とすることは、つまり「肉体」を売り物とすることの意味のようですが、本来、売り物にできるほどの「女」というのは、才色兼備である太夫のような「女」なのだとわたしは思います。
 置屋では、髪結いさんをはじめ太夫を盛り立てるように、様々なスタッフをつけます。使う化粧品も、最高級のものを使ったことでしょう。そんな最高級のおしろいの匂いに似たフロックスの香り。お使いに出た下働きの娘が道端で見つけたフロックス。いつか私もこんな匂いのお粉がつけられる、おいらん(おいらの姉さんの意)のようになろうと思ったことでしょう。

 小さな頃から投資をされ続け、それに応える実績を作った太夫は、心地よい羨望のまなざしを受け、そして責任と、厳しい修行に打ち勝った誇りがあったことでしょう。「あなたの気に入れば幸せです」女を職業とするプロの心構えのような気がします。ただし、太夫の位になれば、置屋のおかあさんのめがねにかなった殿方でも気にそぐわない人はお断りすることができました。それは、太夫ともなれば我侭放題できたということではなく、責任と誇りを持った者だからこそ、その判断が任されても良いという現れだったのでしょう。

 奉行所も口出しができない完全な自治がされていた吉原で、最高の「女」と楽しいひと時が持てる殿方は、権力に物を言わせる人ではなく、お金と人格が備わった人だったということなのかもしれません。

 才色兼備の誇り高き花魁の香りを持つフロックス。
与えられた環境で生き抜くたくましい植物でありながら、楚楚とした美しい花を咲かせるところは、香りだけでなく、花魁の生きる姿そのままのような、そんな気持がしました。

2002.4.26